同じ悲しみを繰り返さないために
えひめイヌ・ネコの会代表 高岸ちはり
私がえひめイヌ・ネコの会を設立しようと思ったきっかけは、1991年に起きた雲仙普賢岳噴火でした。テレビで映し出された被災地の犬猫たちを見て、大きな衝撃を受けたのです。それは、今までに感じたことのない感情でした。熱い思いが突然湧き溢れ自分自身がビックリしたほどです。
この子たちをどうにか助けたい!
何か私にできることはないだろうか!
今までボランティアのボの字も考えたことのなかった私に、ボランティアのスイッチがその時入りました。だからこそ、私にとってペット防災の啓発は、様々な動物愛護活動の中でも強い思いのある活動の一つです。そこで全国に先がけて2005年に「人と犬猫の防災」冊子を作成し、地域や行政と協力して「ペットと一緒の避難訓練」を主催しました。その年から松山市総合防災訓練に「ペットの避難所」が設けられ、えひめイヌ・ネコの会に運営を任されるようになりました。ペットの防災が行政にも伝わった嬉しい時でした。
あれから13年、今では環境省がペットの防災パンフレットを作成するようになり、国がペット同行避難を推進しています。しかし、まだまだ全国民に伝わっていません。
今、えひめイヌ・ネコの会は多くの市民にペットの防災を知っていただくために「ペット防災管理士」を育成し、いざという時に備えたいと考えています。
ペット防災に対して、より多くの方々の理解とご協力を得られるよう今後とも活動に力を入れてまいります。
ペット災害について(えひめイヌ・ネコの会 公式ブログへ)
ペット同行避難を
地震、火事、水害など災害はいつ起こるかわかりません。
阪神淡路大震災では約4千3百頭の犬と約5千匹の猫が被災しました。ペットも家族の一員です。同じ過ち、同じ悲しみを繰り返してはいけないのが災害から得る教訓です。
都道府県の防災計画には『災害の発生に伴う動物の適正な飼養及び保管は、その所有者または占有者が行うべきであるが、県、市、町及び県民は協力して動物の保護及び危害防止に努める』とあります。災害が起こってしまったら、防災計画に従ってペットと同行避難し、大事な家族を守りましょう。
冊子「人と犬・猫の防災」(えひめイヌ・ネコの会 作成)
人とペットの災害対策ガイドライン(環境省のサイトへ)
ペット防災管理士育成講座の開催
2018年11月18日(場所:松山市コムズ)
ペット同行避難の啓発と、災害時のペット避難場所運営に関わるペット防災管理士(当会認定)を増やす取り組みです。
犬や猫の飼い主、防災士、行政担当者ら約55人に、避難の流れや注意点、避難所運営の方法などを実習していただきました。
1チーム9名の6チームに分かれての体験型講座です。前半は松山市消防局地域防災課の方より「避難所運営ゲームHUG」で混雑する避難所の大変さを汗をかきながら体験していただきました。後半はペットの避難所ワークショップです。避難してくる犬猫の対応、支援物資の要請や仕分け、ケガ犬の収容と、次から次へとカードが届きます。一番大変だったのは行政本部チームだったかもしれません。愛護センターの所長や、県、市の担当課の職員の方に参加していただきました。
修了式では、ペット防災管理士2級と3級の修了証を手渡しました。
松山市総合防災訓練
2018年10月28日(場所:松山市内小学校グランド)
少し肌寒い青空のもと、約千7百人が参加して、道後地区の防災訓練(松山市主催)が開催されました。当会は、ペットの避難所テントを松山市保健所と愛媛県獣医師会と共に担当し、約30組のペット連れご家族と一緒に災害時の対応を実習形式で体験していただきました。
まず一時預かり所の受付演習では、飼い主がぺットの健康状態などのチェック書類に記入する間、ぺットたちも一緒に飼い主のそばで待機。受付後はぺットをケージの中に入れ、落ち着いて過ごせるかの訓練も行いました。避難所では狭いケージに入る時間が長く、飼い主が近くにいない環境に置かれるかもしれません。そんな状況をぺット自身が体験し、どんな状態になるか理解しておくことは、飼い主にとってもペットにとても大切なことなのです。
さらに、愛媛県獣医師会によるマイクロチップの説明や、松山市保健所の獣医師によるぺットの応急処置法を教わりました。平常時の訓練がいざという時、ペットにも飼い主にも役に立ちます。